研究課題/領域番号 |
16390278
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松村 到 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00294083)
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研究分担者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
水木 満佐央 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80283761)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60346202)
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キーワード | NF-κB / 活性酸素種 / H2O2 / OP9システム |
研究概要 |
マウスIL-3依存性細胞株Ba/F3に優性阻害型NF-κB(IκBSR)を恒常的に発現させると、IL-3除去によるアポトーシスが増強された。この際、MockクローンではIL-3除去後12時間で活性酸素種(ROS)が軽度蓄積したが、IκBSR導入クローンではIL-3除去前から著名なROSの蓄積が認められた。ROSを消去するMnSOD、TRXをIκBSR導入クローンに過剰発現させたところ、IκBSRによるアポトーシスの増強はほぼ完全に回避された。 マウス正常造血幹/前駆細胞にレトロウイルスを用いてIκBSRを発現させたところ、サイトカイン存在下でもアポトーシスが誘導された。また、IκBSRは、CFU-Mix、BFU-E、CFU-GMなどすべての系統のコロニー形成を抑制した。IκBSR導入細胞では、Mock細胞と比較してROSの蓄積が認められた。その原因としては、IκBSR導入細胞では、ROSのスカベンジャーである細胞内グルタチオン濃度が減少し、MnSOD、GPX、TRXの発現が抑制されていた。また、IκBSRによるアポトーシスは、H2O2代謝剤であるMCI、NAC、TRXにより回避されたが、O2^+代謝剤であるMnTBAPはほとんど効果を示さなかった。 次に、ES細胞から血液細胞を発生させるOP9システムにおいて、分化過程の様々な段階でIκBSRを発現させた。hemangioblastの段階でIκBSRを発現させると、造血幹細胞の発生がROS蓄積によるアポトーシスのため阻害された。また、造血幹細胞の発生後にIκBSRを発現させると、赤芽球系、巨核球系、好中球系それぞれの最終分化過程でROS蓄積によるアポトーシスが誘導された。 以上の結果からNF-κBファミリー分子は血液細胞の様々な発生段階でROS(特にH2O2)を消去し、アポトーシス回避に必須の役割を担うと考えられた。
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