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2005 年度 実績報告書

mRNA半減期調節による造血前駆細胞の細胞周期・細胞死制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16390279
研究機関広島大学

研究代表者

稲葉 俊哉  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60281292)

キーワードmRNA安定性 / サイトカイン / ヒートショック蛋白質 / コシャペロン / Bim / p27 / Hsc70
研究概要

サイトカインは細胞分裂を促進し、アポトーシスを抑制する。造血細胞の場合、サイトカイン受容体からの信号はアポトーシスを誘導するBcl-2ファミリー因子であるBim、および細胞分裂を抑制するp27の発現を抑制して細胞の増殖を促進する。この抑制機序はmRNA発現レベルで生じることから当初転写調節機構の関与が考えられた。実際、細胞系統によっては、特にp27で転写調節が関与しているが、Bimにおいては転写調節の関与は少ないことが明らかとなり、むしろIL-3受容体下流の信号によりmRNAが不安定化されるシステムの存在が示唆されるに至った。そこでわれわれは本科研費の助成を受け、サイトカインによるBimやp27のmRNA不安定化のメカニズムの解明を試みた。
mRNA不安定化システムの中心はヒートショック関連蛋白質Hsc70であることが判明した。Hsc70はサイトカイン非存在時にはBimやp27のmRNA3'非翻訳領域に結合しmRNAを安定化する機能を果たしている。サイトカイン存在時にはmRNAとの結合能を失う結果、mRNAは不安定化し、発現レベルが低下する。サイトカインがHsc70のmRNA結合能を制御するメカニズムとして、コシャペロンが関与することが明らかになった。すなわちサイトカイン存在時には、Hsc70をATP結合型へと誘導するBag-4蛋白質の発現が増加する。また、Hsc70をADP結合型へと誘導するHipやHsp40が未解明の機序によりHsc70との結合能を失い、その結果Hsc70はmRNAとの結合能の弱いATP結合型に誘導されるものである。サイトカイン受容体下流の信号がコシャペロンとHsc70の結合能をどのような機序で制御しているか、なぜATP結合型とADP結合型でmRNA結合能に差異が生じるかなど、将来の研究課題として残された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Neuroprotective effects of erythropoietin on glutamate and nitric oxide toxicity in primary cultured retinal ganglion cells.2005

    • 著者名/発表者名
      Yamasaki M., et al.
    • 雑誌名

      Brain Res. 1050

      ページ: 15-26

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Hyperactivation of the RAS signaling pathway in myelodysplastic syndrome with AML1/RUNX1 point mutations.

    • 著者名/発表者名
      Niimi H., et al.
    • 雑誌名

      Leukemia (in press)

  • [図書] (総説)別冊・医学のあゆみ、血液疾患-state of arts(ver.3)Bimと白血病分子標的-サイトカイン依存性アポトーシスのキープレーヤー2005

    • 著者名/発表者名
      稲葉俊哉, 松井啓隆
    • 総ページ数
      244-247
    • 出版者
      医歯薬出版
  • [図書] 三輪血液病学(第3版)アポトーシスの制御機構(分担)(浅野茂隆、池田康夫、内山卓監修)2005

    • 著者名/発表者名
      稲葉俊哉
    • 総ページ数
      103-107
    • 出版者
      文光堂

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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