研究課題/領域番号 |
16390280
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
上田 龍三 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20142169)
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研究分担者 |
飯田 真介 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50295614)
小松 弘和 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60336675)
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キーワード | CCR4 / ATLL / T-cell lymphoma / regulatory T cell / FOXP3 |
研究概要 |
多数例の成人T細胞性白血病リンパ腫(ATLL)患者及び、HTLV-1キャリアーにおいて血清中の各種サイトカイン、ケモカインを測定し、Th2サイトカインであるIL-5高値が独立した予後不良因子であることを明らかにした。またT細胞性腫瘍に選択的に発現していると考えられていたCCR4がB細胞性腫瘍の一部にも発現することを世界で初めて確認したため、現在、CD20とCCR4を共発現するBリンパ腫細胞株の抗CCR4抗体の薬効をin vivo及びin vitroで検討中である。 ATLL細胞及びATLL細胞株に対し、I-kappa B kinase inhibitorが抗腫瘍効果を示すことを示し、I-kappa B kinase inhibitorによるCCR4陽性腫瘍に対する新規分子標的療法の可能性を提示した。CCR4強制発現ATLL細胞株とmock株を用いてマイクロアレイを行い、その発現プロファイルを比較、解析した。CCR4強制発現ATLL細胞株において、リガンド(TARC/CCL17,MDC/CCL22)添加により細胞周期を正に制御する遺伝子群、及び抗アポトーシスに関与する遺伝子群の過剰発現を認めたため、これらの遺伝子に着目しT細胞性腫瘍におけるCCR4発現の機能的意義を詳細に解析中である。 ATLL患者由来単核球を用い、CD4陽性非腫瘍細胞分画細胞の自己の抗原提示細胞存在下でのTCR刺激に対する増殖能、IFN-〓産性能は、ATLL細胞分画との共培養で著しく抑制されることを示しATLL細胞自身が抑制性T細胞(Treg)機能を有することを示した。これはATLL細胞が宿主エフェクター細胞を抑制し、腫瘍細胞自身の宿主内での生き残りに寄与するとともに宿主の免疫能を低下させ、易感染状態に導くことが想定され、ATLLにおける免疫不全状態の解明に新知見をもたらした。
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