研究課題/領域番号 |
16390284
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 毅 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50110656)
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研究分担者 |
張替 秀郎 東北大学, 病院・講師 (50302146)
宗像 靖彦 東北大学, 病院・助手 (20271950)
石井 智徳 東北大学, 病院・助手 (10282138)
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キーワード | 関節リウマチ / ヒトパルボウイルスB19 / レセプター / マクロファージ / T細胞 |
研究概要 |
前年度に関節リウマチ(RA)の関節滑膜に存在する免疫系細胞に感染する機序として、これらの免疫細胞表面に存在するKu80がB19の未知のレセプターとして作用する事を明らかとした(Blood 2005)。B19をin vitroでT細胞株H9あるいは末梢血リンパI球に感染するとT細胞では細胞接着因子が活性化され、細胞の遊走能の亢進がもたらされたが、ここではB19とKu80の結合が必須であった。またマクロファージ(Mφ)株U937あるいは末梢血単核球にB19を感染させるとMφが活性化して凝集したり、活性化マーカー等が出現した。更にTNFα産生が惹起された。これらより、B19の免疫系細胞への感染によりRA病態形成に必須なT細胞の局所浸潤のための遊走能亢進、活性化、Mφの活性化と炎症性サイトカインの産生を誘導できる事が証明できつつあるとされる。これらの成績からも、B19がこのB19レセプターと結合し、免疫系細胞に感染し、細胞内で増殖する分子機序を明らかにできれば、B19の感染、増殖を特異的に制御できること、そしてこれより、RAの根治的治療を開発する戦略の一環として有意義であることが期待される。このために、B19増殖が著明である赤芽球株KU812EP6やT細胞株H9,マクロファージ(Mφ)株U937で、B19とKu80結合後の細胞内分子機序を追及した。まず、他の細胞に比べてB19増殖を著明に誘導できる赤芽球株KU812EP6ではB19高感受性株とミュータントであるB19非産生である細胞を選別し、クロン化した。各々のクロンに発現する全mRNAを抽出し、両者を比較する事により、B19産生に必須である分子を明らかにできることが推定されるために現在、解析中である。また、B19は細胞内に侵入するとエンドゾームに入ることを認めたが、これと同時に現在、T細胞の接着に関連する各シグナル伝達因子の動きを解析中である。
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