研究課題/領域番号 |
16390284
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 毅 東北大学, 名誉教授 (50110656)
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研究分担者 |
張替 秀郎 東北大学, 病院・講師 (50302146)
石井 智徳 東北大学, 病院・助手 (10282138)
石井 恵子 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00291253)
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キーワード | ヒトパルボウィルスB19 / 関節リウマチ / TNFα / ウイルス中和抗体 / si RNA / 持続感染 |
研究概要 |
1.B19感染と関節リウマチ(RA)発症の臨床研究: 研究グループが経験したB19感染後に発症したRA例(B19-RA)11例とRA発症時にB19の存在を確認できなかったRA例15例の臨床像の差異を調べた。その結果、両グループには差異を認めず、B19感染後発症RAはRAの少なくても一部とみなされた。 2.ヒトパルボウィルスB19(B19)の細胞内増殖機序: B19の細胞内進入から増殖機序を検索した。B19はKu80をレセプターとしP抗原共存下で強く細胞内に進入できた。進入時は細胞表面のクラスリンを介し、エンドゾームに取り込まれた。B19高および低産生クロンの差異実験からここから細胞核にウイルスが入る時点で産生を制御する因子の存在が推定され、この因子を現在追及中である。 3.B19の中和抗体: B19感染症に関するB19抗体の研究から通常のB19感染者は感染後にB19IgM抗体が出現し、IgG型B19抗体の上昇と共に急性感染症は終焉を迎える。これに対してB19感染が遷延する例ではB19IgG抗体が上昇してもB19中和抗体が低下したまま持続する例が目立った。RA60例でB19に関する各種抗体を測定したところ、RAでは46%において中和抗体が著名に低値出ることが判明した。これらの例の大部分はIgG抗体は出現している。B19中和抗体産生不全がB19駆逐不全、さらにB19持続感染の経路をたどると推定され、RA関節滑膜での免疫系細胞でのB19持続感染を説明する機序として注目される。 4.B19のsiRNAによる増殖抑制: B19感染赤芽球でのB19増殖はB19-NS1に対するsiRNAで著名に抑制された。更にRA関節滑膜細胞の初代培養系にB19-siRNAを加えるとTNFα産生の抑制が有意差を持って認められた。RAに関するB19-siRNAの有用性の可能性を示す所見である。
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