ARC法では軟骨細胞は関節軟骨中とほぼ同様な微小環境下で培養されることになり、軟骨の保護・修復・再生の研究に最も適した培養法と考えられる。そこで、ARC法により作成した軟骨を用いて、RAにおける軟骨の保護・再生療法の開発のための基礎的検討を実施した。平成16年度はGFP(green fluorescent protein)発現adenovirus(GFP/Adv)およびhuman BMP-7(bone morphogenic protein-7)発現adenovirus(BMP-7/Adv)を作成し、ARC軟骨への感染条件の検討を実施した。本年度は、ARC軟骨によるプロテオグリカン(PG)産生に対するBMP-7/Advの影響を中心に解析した。 まずBMP-7/AdvをARC軟骨に感染させ、培養上清中に大量のBMP-7が少なくとも2週間は持続的に分泌されることをBMP-7特異的ELISA法およびwestern blotting法にて確認した。次にGFP/AdvまたはBMP-7/Adv感染ARC軟骨を感染後2週間培養し、軟骨中および培養上清中のPG量を測定した。非感染ARC軟骨と比較して、GFP/Adv感染ARC軟骨ではPG含有量が有意に低下したが、BMP-7/Adv感染ARC軟骨ではPG含有量は有意に増加した。インターロイキン-1(IL-1)刺激はARC軟骨のPG分解とmatrix metalloproteinase-3(MMP-3)産生を有意に亢進させたが、BMP-7/Adv感染ARC軟骨では非感染ARC軟骨と比較してIL-1刺激によるPG分解およびMMP-3産生が低下していた。これらの実験結果は、3次元培養におけるBMP-7/Advの軟骨保護作用を示すものである。
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