研究概要 |
1.マウス肺炎モデルによる生体反応の解析 A/JマウスおよびFas欠損マウス、TLR欠損マウスを用いてレジオネラ肺炎を作成し、本菌肺炎でみられる生体反応について解析した。その結果、Th1優位なサイトカイン産生、およびTLR-2のレジオネラ感染における重要性が明らかになった。 2.レジオネラ肺炎マウスと高酸素療法に関する実験 レジオネラ感染を惹起したのち、感染4-5時間後より感染マウスを高酸素実験チャンバーに移し、酸素濃度50,70,90%で2-4日間処理したところ、高酸素処理が肺炎の死亡率を有意に上昇することを観察した。またそのメカニズムの解析により、急性肺障害とアポトーシスの亢進が確認された。細胞増殖因子HGFの感染防御効果は確認できなかったが、caspase-3に対するsiRNAの感染防御効果が培養細胞系において確認された。 3.挿管ラット肺炎モデルによる解析 挿管ラット肺炎モデルを応用して、高酸素療法のレジオネラ肺炎急性肺障害に及ぼす影響について動脈血ガス、生理学的数値、炎症性サイトカインを指標に解析を加えた。その結果、高酸素がレジオネラ肺炎による急性肺障害を助長することが確認された。 4.レジオネラ発症病態における鞭毛の重要性 レジオネラの鞭毛欠損株を用いた実験により、本菌のマクロファージ内での増殖において鞭毛蛋白が極めて重要な役割をしていることが明らかとなった(JEM, in press)。
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