研究概要 |
平成16年度申請者は以下のことを明らかにした。(1)卵白アルブミン(OVA)特異的Th1細胞を移入し、メモリーTh1細胞を構築したマウスにOVAとIL-18を吸入させることで、肺に著明な好中球と好酸球増多を特徴とした気道過敏性の亢進を伴った気管支喘息を誘発できること。(2)OVA特異的Th1細胞をOVA+IL-18で刺激するとIFN-γ産生を増強すると同時に、Th2サイトカイン(IL-9,IL-13),ケモカイン(RANTES, MIP-1α)を産生することを見出し、抗原とIL-18刺激を受けたTh1細胞からのTh2サイトカインとケモカインによる気管支喘息の誘導という、従来とは全く異なる概念に基づいて"Th1型気管支喘息"の発症機序を明らかにした(JEM,199:535,2004)(以上、外因性IL-18による気管支喘息誘導)。マイコプラズマ肺炎あるいはRhinovirus感染が契機となって好中球を主体とするステロイド抵抗性の気管支喘息が発症することが報告されている。そこで17年度は、OVA+IL-18を吸入代わりに、OVAと病原体成分をTh1メモリーマウスに吸入することで内因性IL-18を誘導し、気管支喘息を誘発できるか検討した。その結果、(1)気道上皮細胞をグラム陰性菌の菌体成分のリポポリサッカライド(LPS)で刺激すると、IL-18が産生誘導されることを確認した。次に(2)メモリーTh1マウスにOVAとIL-18を吸入する代わりにOVAとLPSを吸入させることで気管支喘息を発症した。(3)この喘息の発症にLPSによって気道上皮細胞から産生されたIL-18が関与することを明らかにする目的で、LPSと共に抗IL-18鎖抗体を投与すると気管支喘息の発症を抑制した。以上の研究から、感染を契機として発症するいわゆる"Th1型気管支喘息"に病原体成分によって誘導される内因性IL-18が関与していることが明らかになった(以上、内因性IL-18による気管支喘息誘導)。
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