研究課題
今年度は、主に慢性活動性EBV感染症(CAEBV)や伝染性単核球症(IM)に的を絞り、MHC-Igとともに確立されてきたテトラマー解析による細胞障害性T細胞(CTL)の同定をおこない、また人工抗原提示細胞としては、EBVにより樹立された自己Bリンパ芽球様細胞株(B-LCL)を使用したCTLの誘導法について検討した。1.テトラマー解析によるEBV感染細胞特異的CTLの同定。HLA-A24特異的なBRLF1、LMP2およびBRLF1/EBNA3A/EBNA3B/LMP2/BMLF1mixテトラマーを使用し、健康成人およびEBV感染が確認されている患者にてEBV感染細胞特異的CTLの同定を行った。6名中1名の健常者でCD8中の0.06%に特異的CTLが認められたが、他の5例では陰性であった。CAEBV3例の解析では、1例でBRLF1がCD8中0.2%、1例では同じくBRLF1が0.45%の細胞に特異的なCTLとして検出された。他の1例では陰性であった。3例中1例のIMでもEBV-BRLF1特異的CTLの検出が可能であった。リアルタイムPCRで確実にEBVの感染が示されたCAEBV患者3例のうち、2例にBRLF1特異的CTLが証明され、1例には検出されなかった。これらのCTL誘導能は患者の予後とどのように関わるのかに興味が持たれた。2.BV-LCLのペプチド刺激によるCTLの誘導BRLF1特異的なペプチドを合成し、3μg/ml、10μg/ml、30μg/mlの3濃度で1x10^6/mlのB-LCLを処理し、人工的な抗原提示細胞とした。この処理の際、3μg/mlのβ2ミクログロブリンを共存させた。CD8細胞中のBRLF1テトラマー陽性の細胞は、3μ/mlのペプチドをパルスした時に1週目で0.04%、2週目で0.19%、3週目で0%と、2週目にピークを持つ陽性比率の上昇をみた。3.CAEBV患者ペプチドパルス自己B-LCLによるEBV感染細胞特異的CTLの誘導患者由来のEBV感染細胞特異的CTLの誘導は今の所出来ていない。治療上重要な意味を有することであり、今後、この実験系の再現性を確認しつつ、データを蓄積する予定である。
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BBRC 341
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