研究課題/領域番号 |
16390294
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土屋 滋 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30124605)
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研究分担者 |
久間木 悟 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20311566)
峯岸 正好 東北大学, 病院・助教授 (20211592)
笹原 洋二 東北大学, 病院・助手 (60372314)
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キーワード | 抗原提示細胞 / B-LCL / 細胞障害性T細胞 |
研究概要 |
今年度は、EBV感染症をモデル感染症とし、患者の末梢血を用いて、EBVを認識する細胞障害性T細胞(CTL)の存在、In VitroでのCTL誘導能、そのCTLのEBV感染細胞に対する細胞傷害活性を検討し、種々の臨床局面においてウイルス感染細胞及び癌細胞の増殖に抑制的に働いていると考えられるCTLの効果的な誘導法、機能解析を行った。 1.HLAA24陽性者由来抗原提示細胞刺激による抗原特異的CTLの試験管内誘導 HLAA24特異的抗原提示細胞に対しBRLF1ペプチド刺激の有無により、BRLF1特異的なCTLの誘導を試みた。ペプチド刺激の有無に関わらずBRLF1特異的CTLは誘導された。これは、抗原提示細胞細胞から十分な刺激が、ペプチドの有無に関わらずCD8+CTLに入るためと考えられた。このことは、健康者および慢性活動性EBV感染症(CAEBV)患者の両方で確認された。また、CD8陽性T細胞の試験管内増殖は、ペプチドパルスの有無に関わらず認められた。 2.誘導された抗原特異的なCTLの細胞障害活性の検討 ペプチド刺激の有無に関わらず、HLAA24陽性健常者から検出されるBRLF1テトラマー陽性CTLは、同じペプチド抗原で刺激されたときにのみ、CD8陽性CTLにインターフェロンγ(Infγ)産生細胞を誘導する。一方CAEBV患者では、健常者と同様にBRLF1テトラマー陽性CTLが誘導されて来るが、テトラマー陽性CD8陽性CTLのBRLF1ペプチド刺激によるInfγ産生細胞は、健常者の約50%に比し、約30%と低下していた。 今回の研究により、CAEBV患者では健常者と同等の時間経過でBRLF1特定的なCTLが誘導されてくるが、そのCTLは、健常者に比較しInfγ産生能が低下している事が示唆された。この機序の解明は、CAEBVの発症機序とCTLによる治療を考える上で興味深いものと考えられた。
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