本研究は、DNAメチル化による遺伝子発現制御に着目し、アレルギー性疾患における関与を解明することを目的としている。中でもアレルギー疾患におけるTh1/Th2分化の病態に迫るために、Th細胞分化を決定する樹状細胞でのIL-12とIFN-g、またTh細胞におけるIL-4とIFN-gに着目し、アレルギー患者の樹状細胞およびナイーブTh細胞を単離し、それぞれIL-12、IFN-g、IL-4遺伝子座のDNAメチル化の程度をbisulphite法にて測定し、健常者および臍帯血との間に差があるかを検討する。 方法および結果:成人アレルギー患者、健常人の末梢血20mlおよび臍帯血20〜50mlより、比重遠心法にて単核球を分離、CD14陽性分画を磁気ビーズ細胞分離システム(MACS)を用いて精製し、単球を分離しゲノムDNAを採取し、IL-12p35遺伝子転写調節領域におけるDNAメチル化の頻度をbisulphite法を用いて検討した。アレルギー疾患の1検体および臍帯血1検体をbisu 1 phite処理し転写調節領域の近位部位3カ所につきPCR後、泳動切り出しし、Tヴェクターにインサート後大腸菌に形質転換して培養し、それぞれ5コロニーずつ拾い振盪培養し、プラスミド抽出後シークエンスした。結果全370ヵ所のCpG配列に一箇所もメチル化部位を確認できなかった。そこでCpG配列のシトシンをメチル化するSssIメチラーゼ酵素処理後にbisu 1 phite処理をおこないシークエンスし、すべてのCpG配列にメチル化を確認したことで、いわばbisu 1 phite処理のポジティブコントロールを得た。 今後の予定:引き続きアレルギー群、コントロール群および臍帯血それぞれ5検体につき、上記の部位についてメチル化頻度を確認し、各群間でメチル化の頻度に差があるかを検討する。
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