研究課題/領域番号 |
16390303
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山中 良孝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60346442)
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研究分担者 |
田中 弘之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231413)
二宮 伸介 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10325110)
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キーワード | 軟骨無形成症 / FGF recetor 3 / STAT1 / 骨成長障害 |
研究概要 |
【目的】四肢短縮型低身長の中で最も発症頻度の高い軟骨無形成症(ACH)や重症型である致死性骨異形成症(TDI、TDII)およびSADDANは、線維芽細胞増殖因子受容体3型(FGFR3)の活性型変異による成長軟骨板軟骨細胞の機能異常が原因である。私達はこれまでに変異FGFR3の細胞内局在性が細胞膜と小胞体に分けられることを報告してきた。本疾患群の分子基盤の解明のため、変異FGFR3下流の疾患特異的シグナル分子を網羅的に解析した。 【方法】変異FGFR3を軟骨株化細胞に強制発現させ、蛋白の抽出・濃縮後、二次元電気泳動、質量分析法によりアミノ酸配列を決定した。分子問の結合やリン酸化は免疫沈降法とウエスタンブロット法で解析した。 【結果】1)FGFR3シグナル分子の解析:BiPやHsP90、その他未知の分子を含め14個の分子が同定された。2)変異FGFR3の細胞内局在性の検討:TDIIとSADDAN型変異FGFR3は、BiPと共に小胞体局在を担うとされるKDELレセプターと三量体を形成した。3)FGFR3シグナル分子のチロシンリン酸化の検討:STAT1のリン酸化はTDI、TDII、SADDANで強く認められ、野生型(WT)と比べてそれぞれ1.4倍、2.0倍、3.7倍であり、PLCγのリン酸化はTDIに比べTDII、SADDANで強く認められ、WTと比べてそれぞれ2.2倍、8.6倍、9.8倍であった。 【考察】TDII、SADDANではFGFR3がBiPを介してKDELレセプターにより小胞体に局在する一方、WT、ACH、TDIでは細胞膜に局在した。また、骨成長障害の重症度は細胞内シグナル分子のリン酸化の程度に相関した。 【結論】今回検討した疾患群は、FGFR3分子の細胞内局在性と細胞内シグナルの違いにより分類することができ、これらは分子レベルでの発症機序が異なることが判明した。
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