研究課題
基盤研究(B)
四肢短縮型小人症の代表である軟骨無形成症を成長軟骨の異常のモデルとして、変異線維芽細胞成長因子受容体3 (Fibroblast Growth Factor Receptor 3 : FGFR3)によって引き起こされる細胞内情報伝達の異常を解明することにより、本疾患の分子病態に基づく新たな治療法を開発するとともに、小児の成長の本態を解明することを目的に研究を行った。本研究期間に行った研究の成果は(1)副甲状腺ホルモンの骨伸長作用(2)変異FGFR3によって引き起こされる新たな細胞内情報伝達異常のふたつである。(1)成長軟骨の増殖分化制御因子として本研究の開始までに培養細胞などの実験で明らかになっていた副甲状腺ホルモンについて、骨器官培養、変異FGFR3トランスジェニックマウスに対する投与実験を行った。骨器官培養では培養液中への副甲状腺ホルモンの添加によって、主に成長軟骨幅が増加しその結果骨の伸長が惹起された。次に生後1週令のマウスに対して100μg/kgのPTHを5週間隔日皮下投与を行った結果、いずれの長管骨においてもモデルマウスの骨伸長は促進され体重の回復、体長の回復が観察された。PTHがヒトの疾患における新たな治療薬となりうることを示した。(2)変異FGFR3によって惹起される異常シグナル伝達の詳細を明らかにするためプロテオミクスの系を用い、変異FGFR3特異的に結合する新たな情報伝達物質としてBiPとHMGB1を同定した。BiPの検討:TDII変異はBiP、KDEL-Rに強い結合をしめし、これら三者の共局在が受容体を小胞体に留める要因となっていることが明らかとなった。(2)HMGB1 (High Mobility Group B1)に関する検討:TDII型変異FGFR-3に結合したHMGB1はリジン残基、セリン残基にアセチル化を受けており、変異FGFR3からの細胞内シグナルが、HMGB1のアセチル化を促進していることが考えられた。
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