研究課題/領域番号 |
16390304
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
楠原 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20243941)
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研究分担者 |
吉良 龍太郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70304805)
鳥巣 浩幸 九州大学, 大学病院, 医員 (10398076)
原 寿郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40150445)
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80192318)
市山 高志 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20263767)
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キーワード | 亜急性硬化性全脳炎 / 疾患感受性 / 遺伝子 / 脳血液関門 / アジア / 宿主 / 麻疹 / 治療 |
研究概要 |
1)亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の疾患感受性候補遺伝子の検討 自然免疫におけるdsRNAの認識分子であるtoll-like receptor 3(TLR3)とRIG-I、RIG-Iの関連分子であるMDA5、LGP2とSSPE発症との関連を一塩基多型(SNP)を用いて解析した。それぞれの遺伝子について検出力の高いSNPを選択し、SSPE患者40名、正常対照87名について遺伝子型を決定し、χ^2検定により関連解析を行った。SSPE罹患感受性に関連が認められた場合は近傍のSNPも解析した。その結果、TLR3にあるL412F(rs3775291)において、Lアリルの頻度が有意にSSPE群で低かった(P=0.028)。TLR3の他のSNP(-7C/A,IVS3+71C/A,1377C/T)は単独の解析ではSSPEとの関連は認めなかったが、L412Fと1377C/Tは完全な連鎖不平衡にあり(D'=1)、両SNPによるハプロタイプの頻度でも有意差(P=0.028)を認めた。RIGI、MDA5、LGP2についてはSSPEとの関連を認めなかった。L412FはTLR3の細胞外ドメインの特徴的構造であるLeucine rich repeatを構成するLの1つを置換する。したがってdsRNAとの結合もしくは関連蛋白との結合に際し機能に変化を与え、SSPEの疾患感受性に関与する可能性が示唆された。 2)SSPEの病態解析と新規治療法の開発 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の炎症病態に対する脳血管関門機能の関与を血清matrix metalloproteinase-9(MMP-9)およびtissue inhibitors of metalloproteinases 1(TIMP-1)の面から解析し、SSPEの炎症病態過程においてMMP-9、TIMP-1の関与を明らかにした。 リバビリン脳室内投与療法を行ったSSPE症例を解析した結果、病期の早い時期に治療を開始し、髄液リバビリン濃度が早期に有効濃度に達した症例では、臨床的有効性が確認された。しかし、頭痛、ふらつきの発生や、化膿性髄膜炎の発生の報告があり、今後は皮下埋め込み型微量輸中ポンプなどを使用することにより、副反応を軽減する必要があると考えられた。
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