研究分担者 |
吉良 龍太郎 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (70304805)
鳥巣 浩幸 九州大学, 大学病院, 助手 (10398076)
原 寿郎 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (40150445)
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
市山 高志 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20263767)
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研究概要 |
1)亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の疾患感受性候補遺伝子の検討 我々はSSPE患者において麻疹ウイルス特異的IFN-γ産生能が低下していることを報告している(Hara T et al. Neurovirol,2000)。そこで、Tリンパの抑制に関与している共刺激分子に関連する遺伝子(CTLA4,PD1,BTLA,CD80,CD86,PDL1,PDL2,HVEM)の20個の1塩基多型(SNP)について関連解析を行なった。日本人では、PD1の3つのSNPのallele頻度およびgenotype頻度にSSPE群と対照群で有意差があり、また、これらを含むPD1の4つのSNPで構成される特定のハプロタイプがSSPE群で有意に多かった。フィリピン人では、allele頻度には差がみられなかったが、3つのSNPで構成される特定のハプロタイプがSSPE群で有意に多かった。さらに、定量RT-PCRによるPD1のmRNAレベルはSSPE群で有意に多かった。以上の結果は、PD-1がSSPの疾患感受性に関与していることを示唆している。 2)SSPEの病態解析と新規治療法の開発 SSPEの炎症病態に関するサイトカイン解析をパプア・ニューギニアの24症例を加えて行なった。血清(35検体)では無熱群に比し、発熱群で有意にIL-6、IL-10の上昇を認めた。髄液(26検体)ではミオクローヌス無し群に比し、ミオクローヌス有り群で有意にIL-6の上昇を認めた。サイトカインと臨床症状との関連性が示唆された。 リバビリン脳室内投与療法を行ったSSPE症例を解析した結果、治療中は臨床症状が改善するが、治療を中止すると数ヶ月して再燃する症例が認められた。これは、中枢神経系からSSPEウイルスを完全には排除できなかったことを示している。したがって、治癒を望むには、脳内リバビリン濃度をさらに高濃度に維持する方策を検討する必要がある。
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