研究課題/領域番号 |
16390306
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
久米 晃啓 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10264293)
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研究分担者 |
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
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キーワード | 慢性肉芽腫症 / 遺伝子治療 / 造血微小環境 / 骨髄腔内注入法 / 選択的増幅遺伝子 / 造血幹細胞 / エリスロポチエン受容体 / 顆粒球コロニー増殖因子受容体 |
研究概要 |
造血幹細胞遺伝子治療の効果を改善することを目的に、X連鎖型慢性肉芽腫症(X-CGD)を対象疾患として、遺伝子導入細胞増幅システム(選択的増幅遺伝子;SAG)の改良を行った。SAGは薬剤反応性に細胞増殖シグナルを発するキメラ分子をコードする人工遺伝子であるが、今年度は第二世代であるエリスロポエチン(Epo)反応型分子を、X-CGD治療の標的となる骨髄球系細胞に合わせて改変した。すなわち、キメラ分子を構成するエリスロポエチン受容体(EpoR)細胞外-膜貫通部分と顆粒球コロニー刺激因子受容体(GcR)細胞内部分をすべてヒト化した。次いで、それらの接続部分の違いが造血前駆細胞増幅効果に及ぼす影響を詳細に検討するため、両者の接合部を少しずつずらして多数作製した。これらSAGとX-CGD治療用遺伝子(gp91遺伝子)を、レトロウイルスベクターにてX-CGDマウス骨髄に導入し、顆粒球系造血前駆細胞の増幅効果を比較した。いずれのEpoR-GcR型SAGも、Epo刺激下でほぼ同等の造血コロニー誘導能を示し、その約85%が活性酸素産生能を有する顆粒球コロニーだった。そこで、最も多数のコロニーを生ぜしめたSAGを選び、X-CGD骨髄細胞に導入して同系マウスに移植後、Epoを投与して遺伝子導入細胞の体内増幅が可能か検討した。末梢血中の機能回復顆粒球の割合は、第1クールの刺激にて1.0±0.1%から3.9±0.8%(P=0.006)、第2クールの刺激にては1.5±1.1%から3.2±2.2%(P=0.065)へとそれぞれ上昇した。以上の実験により、Epo反応型SAGによって、X-CGDマウスの治療効果が増強しうることが示された。今年度検討したベクターをサル等の大型動物を用いた前臨床研究に供し、単独で、あるいは間葉系幹細胞の共移植や骨髄内移植と組み合わせた場合の細胞増幅効果を解析する。
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