研究課題/領域番号 |
16390310
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胎児・新生児医学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福井 義浩 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50144168)
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研究分担者 |
澤田 和彦 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (10284324)
坂田 ひろみ (HAGA Hiromi) 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (50294666)
今川 智敬 鳥取大学, 医学部, 助教授 (20232605)
三木 崇範 香川大学, 医学部, 助教授 (30274294)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | 胎児性アルコール症候群 / セロトニン / BDNF / NGF / アストロサイト |
研究概要 |
本研究ではエタノールによる脳発達障害の成因を探ることを目的とし、エタノールが種々の発生・分化制御因子に与える影響について調べた。 胎生期エタノール曝露(Et)ラット脳では、胎児期からセロトニン含量が対照と比べて少なく、縫線核におけるセロトニン陽性細胞の数も減少していた。この縫線核におけるセロトニン陽性細胞数の減少はラットが成熟した後も保持されていた。セロトニンは不安と深く関わっているが、Etラットは新規環境下での探索行動が減少しており、セロトニン神経の異常の関与が考えられた。また、Etラットではセロトニン神経の発達に影響を及ぼすShh遺伝子の発現が低下していたことから、エタノールのセロトニン神経系に対する発達神経毒性がShhシグナル系を介している可能性が示唆された。エタノール曝露ラットの海馬、小脳、大脳皮質、嗅球、中隔核で、神経栄養因子とそのレセプターのmRNA発現量をreal-time PCRで解析したところ、エタノール曝露ラット小脳では、BDNF mRNAの発現量がコントロール群に比べて、有意に減少していたが、NGFとそのレセプターTrkAのmRNAの発現量は、有意に増加していた。また、海馬ではOMgp mRNAの発現量低下、中隔核ではGDNF mRNAの発現量低下が認められた。よってエタノールは神経栄養因子やそのレセプターの発現に変化をもたらし、脳の発達障害を生じさせる可能性が考えられた。さらに、ラット新生仔(3日齢)海馬から分離した培養星状膠細胞をエタノールに曝露し、グルタミン酸刺激後の細胞内カルシウム濃度を観察したところ、対照と比較してグルタミン酸に反応する細胞の数が減少していた。星状膠細胞のカルシウムシグナルがシナプス成熟に関与すると考えられていることから、エタノールが星状膠細胞のカルシウムシグナル伝達系を介して脳の神経回路網構築に影響を与える可能性が示唆された。
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