研究概要 |
本研究は表皮角化細胞の接着構造であるdesmosome構成分子の構造と機能の分子制御機構をケラチン中間径線細胞骨格との分子間結合制御の観点から、その障害に起因する水疱症である天疱瘡と単純型表皮水疱症(EBS)の分子病態解明と相補的、分子細胞生物学的に解明しようとするものである。本研究の目的の一つは、天疱瘡病原性のある抗デスモグレイン3モノクローナル抗体と病原性のない抗デスモグレイン3モノクローナル抗体を用いて、デスモグレイン欠損デスモソームが形成されるかどうか検討することである。これについては、病原性の強さにデスモグレイン3の減少程度は比例するという結果を得た(米国研究皮膚科学会発表採択平成17年5月4-7日)。また、天疱瘡抗体を新生児マウスに注射すると24時間後に顕微鏡的棘融解を生じるがこのときの表皮内デスモグレイン3の蛋白量を求めると約30%の減少が見られ、デスモグレイン3の減少が水疱形成に重要であることが推察された(米国研究皮膚科学会発表採択平成17年5月4-7日)。培養細胞に天疱瘡抗体を添加するとデスモグレイン3、E-カドヘリン、βカテニン、プラコグロビンのリン酸化を増強するが、メチルプレドニゾロンの全処理はこれを阻害したことを示した(J Biol Chem,279:2135-2146,2004)。一方、ムスカリンーアセチルコリン受容体阻害剤の処理によってE-カドヘリン、βカテニン、プラコグロビンのリン酸化が増強し細胞間が理解することを示した(Exp Cell Res 294: 534-549,2004)。さらに、コリンアゴニストによってプレドニンの投与量を減ずることが出来ることを報告した(Arch Dematol Res 140:327-334,2004)。本研究のもう一つも目的のケラチン分子病については新規のK5変異のトランスフェクション細胞で解析を行った(未発表)。
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