研究概要 |
本研究の目的はdesmosome構成分子の構造と機能の分子制御機構をケラチン中間径線維細胞骨格との分子間結合制御の観点から、その障害に起因する水庖症である天庖瘡と単純型表皮水庖症(EBS)の分子病態解明と相補的、分子細胞生物学的に解明しようとするものである。 天庖瘡における細胞間接着離開機序:本研究ではdesmoglein3分子に対する病原性あるいは非病原性モノクローナル抗体を用いて、細胞内シグナル伝達が惹起するかどうか、さらに、desmoglein3欠損desmosomeが出来るかどうか実験的に明らかにし、desmosomeの消失機構と水庖形成機序を解明したところ、病原性抗デスモグレイン3マウスモノクローナル抗体AK23mAbのDsg3への結合は尋常性天庖瘡抗体(PV-IgG)と同様に24時間刺激によりDsg3減少デスモソームを形成すること、4種類の抗Dsg3モノクローナル抗体(AK18,19,20,23mAbs)をそれぞれ各種濃度で単独、及び2種、4種類の混合で有棘細胞癌株DJM-1細胞に刺激(30分、24時間)後、免疫プロット法でプラコグロビン(PG)を内部標準とした時のDsg3の減少率を算出したところ、Dsg3最大減少量は病原活性の強さに比例すること、それらを混合することによって、そのDsg3減少率は相加的に増加することが判明した。さらに。細胞解離測定法(Cell dissociation assay)法による測定では、PV-IgG, AK23刺激共に細胞接着力が63%まで減弱した。 単純型先天性表皮水庖症をモデルとした細胞骨格とdesmosome機能:我々は遊走性環状紅斑を伴った特異な臨床を呈したEBSの3例のgenomic DNAを用いてケラチン(K)5、14について3例全てにおいてK5のexon 9にヘテロの1649delG変異を起こしK5のV2ドメイン以下に正常より35個長い変異アミノ酸鎖を生じることを示したが、この遺伝子のトランスジェニック、ノックインマウスを作製したが、フェノタイプがでなかった。
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