研究概要 |
遺伝性対側性色素異常症(Dyschromatosis Symmetrica Hereditaria : DSH)は、四肢末端、特に手背・足背に濃淡様々な色素斑と脱色素斑が密に混在する像を特徴とし、常染色体優性遺伝の疾患である。我々はこのDSHの病因遺伝子をADAR1(double-stranded RNA specific adenosine deaminase, DSRAD)遺伝子であると、2003年、世界に先駆けて同定し、4家系のDSH患者について4つの遺伝子変異を報告した。今回、新たに16名のDSH患者について、ADAR1遺伝子の新規変異を同定した。すなわち6つのミスセンス変異(p.V906F、p.K1003R、p.G1007R、p.C1036S、p.S1064F、p.R1078C)、2つのスプライス部位の変異(IVS2+2T>G、IVS8+2T>A)、6つのフレームシフト変異(p.H216fs、p.K433fs、p.G507fs、p.P727fs、p.V955fs、p.K1201fs)、そして2つのナンセンス変異(p.R426X、p.Q600X)を同定した。我々はこの16症例と上記4家系患者を検討し、臨床症状と遺伝子変異の間に明らかな相関を認めなかった。また、遺伝性汎発性色素異常症の患者3名と網状肢端色素沈着症の患者3名ではADAR1遺伝子の変異はなく、それぞれ独立した疾患と考えられた。
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