研究概要 |
転写因子Arntの表皮特異的遺伝子破壊マウスは、バリアー機能が著しく低下していたが、組織学的解析においては明らかな構造変化が認められなかった。しかし、電顕の解析では、角層のラメラー構造の縞模様のスペーシングがArnt破壊マウスで若干狭くなっている傾向が認められた。生化学的解析では、スフィンゴ脂質の4位に2重結合が挿入されていないことが判明している(Takagi et al. J.Clin.Invest,112(9):1372-1382.2003)。 スフィンゴ脂質の4位に2重結合を挿入する酵素はDesaturaseである。2種類のDesaturaseが報告されていたので、Arnt破壊マウスの表皮RNAでの発現量を検討した。Desaturase1の発現量は、野生型マウスと変わりなかったが、Desaturase2の発現量は野生型マウスに比べ1/10以下に低下していた(Takagi et al. J.Clin.Invest,112(9):1372-1382.2003)。そこで、Arnt破壊マウスの表皮における表現型がDesaturase2によるものかどうかをDesaturase2の表皮特異的遺伝子破壊マウスを樹立して確認することにした。 Desaturase2遺伝子は、4つのエクソンからなり、機能ドメインと思われるところは第2エクソンにコードされていた。そこで第2エクソンをloxPで挟み込むようなターゲティングコンストラクトを作製した。現在、皮膚特異的にCreを発現するマウス(K5-Cre)と交配することにより、Desaturase2の表皮特異的遺伝子破壊マウスを作製中である。
|