• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

多因子性精神神経障害の分子遺伝学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 16390326
研究種目

基盤研究(B)

研究機関鹿児島大学

研究代表者

佐野 輝  鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178800)

キーワード有棘赤血球舞踏病 / 遺伝子改変モデルマウス / 神経変性 / 運動障害 / 有棘赤血球症 / CHAC
研究概要

有棘赤血球舞踏病(chorea-acanthocytosis : CHAC)は常染色体劣性遺伝性神経変性疾患で、線条体の選択的変性から生じる神経精神症状と末梢血の有棘赤血球症を示す。最近、我々はCHACの病因となる新規遺伝子CHACを同定し、疾患変異を見い出した。本研究では、マウスのCHACcDNA配列を同定し、エクソン-イントロン構造を確認し、ヒトで疾患を引き起こすエクソン60-61の欠失変異を導入したモデルマウスを作成し、その表現型を解析した。CHAC変異ホモ接合体マウスは、87週齢時に野生型マウスに比し生存率と体重変化に有意差を認めず、不随意運動も示さなかった。しかし、foot print testで歩幅の減少、rotarod testで落下までの時間の短縮など運動能力障害を認め、有棘赤血球症が出現し、赤血球脆弱化試験ではホモ接合体マウスが野生型マウスより有意に浸透圧負荷に脆弱であった。行動解析ではopenfield解析で自発運動量は有意に減少し、social interaction testではホモ接合体はケージの端の方で過ごす時間が有意に長く個体同士の接触時間は有意に短かった。脳のモノアミン解析では、モノアミンおよびその代謝産物の解析では中脳視床視床下部でドパミンの代謝産物であるHVAのみCHAC変異ホモ接合体マウスで有意な低下を認め、ドパミンは低下傾向にあるものの有意差を認めなかった。組織学的には、線条体にアポトーシスとグリオーシスの所見が認められた。有棘赤血球舞踏病は、ヒトにおいてもまれな疾患であり、その病態解析は困難であった。本研究で得られたモデルマウスでは、ヒトの疾患病態と極めて類似し、老齢期に至って軽症の臨床表現型を示し、病理学的にも神経化学的にも線条体を中心とする神経変性が確認され、今回作成したマウスはヒトの疾患を研究する上でよいモデルとなると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A gene-targeted mouse model for chorea-acanthocytosis2005

    • 著者名/発表者名
      Y.Tomemori, et al.
    • 雑誌名

      J.Neurochem. 92

      ページ: 759-766

  • [雑誌論文] 有棘赤血球舞踏症の分子遺伝学2004

    • 著者名/発表者名
      佐野輝
    • 雑誌名

      Current Insights in Neurological Science 12

      ページ: 2-4

  • [雑誌論文] 精神神経疾患の遺伝学-臨床遺伝学から分子遺伝学2004

    • 著者名/発表者名
      佐野輝
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌 106

      ページ: 1604-1609

  • [図書] Neuroacanthocytosis Syndromes(分担執筆pp.39-44、Choreaacanthocytosis with the Ehime-deletion mutation)2004

    • 著者名/発表者名
      S.Ueno et al.
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      Springer, Berlin, Germany (A.Danek eds.)

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi