研究概要 |
VGLUT1/2を遺伝子解析し患者・対照研究を実施した結果,VGLUT1は,IVS2+87A>Gが妄想型(男性群)において有意な関連を認めた(P=0.01).一方,VGLUT2は,IVS2-49G>Aにおいて女性群と有意な関連が認められた(P=0.02)。GFAP遺伝子を解析し患者・対照研究を実施した結果,ハプロタイプ頻度は,健常対照群と統合失調症群で有意に異なっていた(P=0.0003)。Reelin遺伝子をRT-PCR法により検討した結果,エクソン9が欠失した転写産物をはじめて同定した.さらに,Real-time PCRにより,エクソン9が欠失したmRNA発現レベルを定量したところ,健常対照群と比較して,統合失調症群では2.62倍と増加傾向を示した(P=0.087)。エクソン9の選択的スプライシングの結果,フレームシフトによる302アミノ酸からなるTruncated formをWestern blotting法により確認した. 4番および13番染色体のde novo均衡転座を伴う統合失調症の孤発例を同定し,FISH法により4番染色体の切断点を4p15.31(約150kb)領域に絞り込み,13番染色体の切断点を13q14.3-21.1(約1.4Mb)領域に絞り込んだ.これらの領域には既知の遺伝子は登録されていなかったが,いくつかのPredicted genesが存在していた. RACE法を用いてDISC2遺伝子を解析し、Millarらの報告より1380塩基長い5'端を決定した。ヒトDISC1のexon9とマウスDISC1のexon7-11のhomology検索を行い、最も高い相同性を示したマウスexon9をはさむintronにプライマーを設計してRT-PCRを行い、大脳皮質、小脳、海馬、肝臓、腎臓などヒトDISC2と同じパターンで発現を確認した。約2kb間隔で互いに部分的に重複するRT-PCRを行い、全長が12kb以上の巨大なtranscriptであることを確認し、ヒト以外でDISC2の発現を初めて同定した。DISC1のexon9相補部を含むDISC2の3kb,391bpをIMR-32にtransfectionして内在性のDISC1をTaqMan real-time RT-PCRによって計測したところ、transfectionするDISC2の量に依存してDISC1の発現量が変動することが確認された。これらは、DISC2のDISC1に対する発現調節の可能性を示唆する初めての証拠である。
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