研究課題
低侵襲性のIVR治療、特に血管内治療は頸動脈ステント、冠動脈ステント療法など広く臨床で普及しつつある。しかし、この治療の成否のカギはステント留置後のステント内再狭窄予防である。欧米のメーカーを中心に免疫抑制剤や抗ガン剤などの薬剤溶出ステント開発によって再狭窄率の低減が報告され、同等以上の効果、性能を有し、廉価で、かつ新たな機能を持ち合わせたステント開発が急務と考え、新たなステント開発に取り組んできた。我々は、胆道癌目的の自己拡張型のニチノールステント(センダイステント)をすでに開発し、薬事承認取得している。また、共同研究者(H16-17)であった中山らの被覆技術を用いてカバードステントを試作し、成功している。我々の開発しているステントは被覆ステントに多数の小さな穴を開けて、ステント内腔に自己の内皮細胞にて被覆させることで、留置後の抗血栓療法や、再狭窄を予防しようとするものである。本年度はカバードステントの改良と、その生物学的有用性、安全性を確認した。動物実験データから幾つかの改良すべき問題点が見つかった。例えば、非被覆時にはSENDAISTENTに特有の屈曲、蛇行時の内腔保持は良好だが、被覆時には内腔保持力が劣化した。この改良点として人工血管の被膜の厚さを薄くし、弾性力、拡張力を改善した。また、自己拡張の最大記憶径まで拡張し、被膜処理をすると、実験動物では最大記憶径まで拡張されないので、被服部分にしわ、たるみが生じ、これが内皮の肥厚に悪影響を及ぼすことがわかった。この問題は未だ解決できていないが、今後の最大の課題となっている。その成果はヨーロッパIVR学会(H18.9)にて発表し、Certificate of Meritt賞を受賞した。ステント開発に関する論文も受理された。(Sato S, Nakayama Y, Ishibashi T. J Biomed Mater Res B Appl Biomater. 2007)
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