研究課題/領域番号 |
16390339
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 修 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50159969)
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研究分担者 |
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
細井 理恵 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30291446)
山口 正俊 福岡大学, 薬学部, 教授 (50117280)
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キーワード | ^<14>C-酢酸 / 脳虚血 / 興奮性アミノ酸 / グリア細胞 / モノカルボン酸トランスポーター / ラット |
研究概要 |
^<14>C-標識酢酸は、グリア細胞に選択的に取り込まれることが知られており、そのグリア選択性は主としてモノカルボン酸トランスポーター-1(MCT-1)による選択的な取り込み過程にあるといわれてきた。我々はグリアの選択的代謝抑制剤であるフルオロクエン酸(FC)の脳内直接注入実験により、グリアの代謝過程も^<14>C-標識酢酸の取り込みに大きな影響を与えることを示した。今年度は病態モデルとしてラット脳虚血時における^<14>C-酢酸の取り込みについて検討した。その結果わずか3分間の一過性の脳虚血直後においても^<14>C-酢酸の取り込みが著明に低下することを見い出し、グリア細胞が虚血に対して鋭敏に反応することが判明した。また虚血による^<14>C-酢酸の取り込み低下は可逆的で、再灌流3時間後には対照側と同一レベルに回復した。興奮性アミノ酸(イボテン酸,カイニン酸)をラット線条体に注入すると、注入3時間後で既に^<14>C-酢酸の著明な取り込みの低下を認めた。イボテン酸注入2週間後において神経細胞死が生じた段階でも^<14>C-酢酸の取り込みは約50%に低下したが、グリア細胞の数はわずかな増加を認め、細胞当たりの^<14>C-酢酸の取り込みは顕著に低下した。これはグリア-ニューロン間の代謝相関が変容し、神経細胞をサポートする必要性が低下したことによるものと推測される。以上の実験から、^<14>C-酢酸がグリア細胞の代謝マーカとして有用なトレーサであることが確認できた。PETによる測定を念頭において、脳への移行性を高め脳内で酢酸に変換されるプロトレーサとしてフェニルアセテート誘導体の^<14>C-標識合成と評価を行った。 また^<11>C-酢酸注射液の製法及び品質管理法を確立して、正常人における^<11>C-酢酸の動態をPETで計測する準備を完了した。
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