研究課題/領域番号 |
16390339
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 修 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50159969)
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研究分担者 |
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
細井 理恵 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30291446)
山口 政俊 福岡大学, 薬学部, 教授 (50117280)
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キーワード | ^<14>C-酢酸 / 脳虚血 / 興奮性アミノ酸 / グリア細胞 / モノカルボン酸トランスポーター / ラット |
研究概要 |
前年度^<14>C-標識酢酸のラット脳への取り込みについて、短時間の脳虚血-再潅流モデルおよび興奮性アミノ酸であるイボテン酸の線条体注入モデルを用いてその有用性を検討した。本年度は上記2種類のモデルにおける^<14>C-標識酢酸の取り込み低下にNMDA受容体を介した情報伝達系が関与していることを明らかにした。また、^<11>C-標識酢酸注射液を製造し、倫理委員会の承認を経て、正常人の脳内動態をPETにより計測し、基礎的な知見を得た。一方、より脳への移行性を高め、脳内で迅速に酢酸に代謝変換されるプロトレーサとしての^<14>C-標識フェニルアセテート並びに^<14>C-標識エチルアセテートの脳内動態についての評価を行った。いずれのプロトレーサも^<14>C-標識酢酸と比較すると高い脳への取り込みを示し、かつ脳内で^<14>C-酢酸に迅速に加水分解することが確認された。^<14>C-標識フェニルアセテートの脳内分布は極めて不均一で、大脳皮質の特定の領域に高い局在分布を認めたが、^<14>C-標識エチルアセテートは均一な脳内分布を示した。またグリアの選択的な代謝抑制剤であるフルオロクエン酸(FC)の注入により、両基質の取り込みは著明に減少した。以上の知見より、^<14>C-標識フェニルアセテートと^<14>C-標識エチルアセテートは共に代謝産物である^<14>C-標識酢酸に変換されて、グリア細胞に取り込まれるが、その加水分解酵素が異なることが示唆された。 一過性の脳虚血モデルおよびイボテン酸注入モデルにおける^<14>C-標識フェニルアセテートの脳内動態を計測した結果、いずれのモデルにおいても病変部での著しい取り込みの低下を認め、更にその低下の範囲は^<14>C-標識酢酸と比較すると広範囲に拡がっていることを認めた。動物PETによる動態計測を実施するために^<11>C-標識フェニルアセテートの標識合成を試みた結果、^<11>C-標識合成法を確立した。
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