研究課題/領域番号 |
16390342
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
国枝 悦夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70170008)
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研究分担者 |
川口 修 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90276428)
斉藤 秀敏 首都大学, 健康福祉学部, 教授 (50196002)
尾川 浩一 法政大学, 工学部, 教授 (00158817)
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キーワード | X線CT装置 / マイクロマルチリーフ / 低エネルギーX線 / 定位集光照射 |
研究概要 |
我々は計算機シミュレーション結果から、特に定位集光照射の対象となる肺の小病変などではX線管球の方が線量分布的に優れていることに着目している。本研究では既存CT装置を改造して呼吸などによる標的の移動にも対処して、比較的低いエネルギーのX線を用い、通常のX線撮影室程度の遮蔽でも使用できる新たな概念に基づく集光照射装置(CTRTx)の開発を進めている。 特に今年度は、実際の照射実験をウサギでおこなった。健康な36週齢のウサギ3羽使用し、撮影中はシリンジを使って継続的に麻酔を投与した。管電圧120kV,管電流400mAの条件下で3cm深度で5Gy/minの線量となる。照射野はIsocenter位置でAxial方向20mm、体軸方向10mmとして、non-coplanar:±30°のチルトにて、ウサギ胸部位置に60Gy(10秒照射、40秒休止を72回)を照射した。CTRTx照射では、照射中もCTとしての再構成が行われるため、照射範囲および周囲の状態が画像的に確認可能な事が確認できた。 照射後の経時変化どしては、照射15週間後のROI内と正常肺野の同様な範囲でのCT値のヒストグラムを見比べると、おおよそ50〜100HU程低くなっていた。以前のライナックによりnon-coplanarでのウサギ実験で60Gy照射した結果、十数週間後に気腫性変化(照射部CT値が周辺の同組織の値より低い)が現われたが、その変化との対比を今後の変化もふまえ検討する予定である。 ハードウェアは診断用CT装置管球等に大きな変更を加えておらず、その制限下でも1回60Gyという大線量投与の動物実験が可能であった。より大容量の管球の使用、さらには管球の改良によって装置的な実用可能性はある程度確保できたものと考える。
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