研究課題
基盤研究(B)
平成16年度は、まずX線光子の輸送計算を行うモンテカルロシミュレーションコードを作成した。次に、このシミュレーションプログラムを用いてパルスカウンティング方式の有効性の検討を行った。有効性の検討は、(1)コントラスト分解能がどれほど改善するか、(2)X線の線量をどこまで低減することが可能か、(3)X線のビームハードニングの影響をどこまで抑えることができるか、の3点について行った。この結果、コントラスト分解能は従来法の3倍まで改善し、ビームハードニングの影響は加重関数を最適にすることでほとんど見えない程度まで改善できることがわかった。さらに、実際のX線CT装置で用いられているエネルギースペクトルに基づきシミュレーションを行い有効性を確認した。また、エネルギー情報の利用の仕方に関しても、複数の方法を考案し有効性の検証を行った。最後に、これらの結果に基づいて検出器の設計仕様を検討し、光子計測型検出器の試作を行い、性能試験の後、雑音に対する対策や感度の均一性を確保するためのハードウェア仕様を再検討し、改良を行った。平成17年度には、この検出器を用いた基礎実験を開始し、実験とシミュレーションとの比較を行った。まず、X線管の電流値に対する応答特性、温度特性、雑音特性などを計測した。また、この検出器をもちいて、水、アルコール、Ca、Feなどから混成されるファントムを作製しそれぞれの物理量が厳密に測定可能かどうかを明らかにした。さらに、散乱線の影響、物理計測値の再現性などを検討した。また、検出器の個々の画素の感度不均一性がCT画像の再構成に対して非常に敏感に働き、リングアーチファクトを容易に発生させることもわかった。また、積分型の超高分解能CdTe検出器も試作したが、この検出器では100ミクロンの高い空間分解能の画像を映像化することに成功した。さらに、この検出器を用いて小魚の断層面の画像を映像化することを試みた。
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すべて 雑誌論文 (12件)
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