研究課題
本研究では、ソマトスタチン(成長ホルモン分泌抑制ホルモン)の類似物質であるオクトレオチド(合成ソマトスタチン)は、生体内で対応するソマトスタチン受容体と特異的に結合することにより、遺伝子導入の手法を用い、肺がんと前立腺がんのがん細胞表面に強制的にソマトスタチン受容体を発現させ、β線放出RI標識オクトレオチドを用いたソマトスタチン遺伝子治療併用内部照射ターゲッティング治療法の開発を目指すものであって、さらにγ線放出RI標識オクトレオチドを用い、がん細胞表面に存在するソマトスタチン受容体を画像化するとともに、受容体量を定量測定することで、治療効果の定量的評価法の開発の可能性も併せて研究した。まず、アデノウイルスベクターにHA-ヒトソマトスタチン受容体2型遺伝子を組み込んだAdex-HAhSStr2を構築し、HEK293細胞にリポフェクション法により遺伝子導入することによりアデノウイルスを産生し、それを肺がん細胞A-427と前立腺がん細胞CA20948に感染させることにより、高効率にソマトスタチン受容体を発現する細胞を作成した。導入されたソマトスタチン受容体発現効率はHAに対する抗体を用いることにより、ウェスタンブロット法および細胞染色にて評価し、^<111>In標識したオクトレチドを用いて、競合法で高い結合能を確認した。担がん動物モデルで治療実験を行い,腫瘍縮小効果や微小転移の抑制効果を検討し、^<111>In標識オクトレチドの投入量と依存的に腫瘍増殖抑制効果の増加が認められた。また、^<18>F標識オクトレチドを用いて、担がん動物モデルのPETイメージングも行い、高いコントラストの画像が得られ、定量化できることも確認でき、治療効果の定量的評価も可能であることが示唆された。本研究では、^<111>In標識オクトレオチドによる体内動態測定より、β線放出核種標識オクトレオチドによる腫瘍治療の可能性と、^<18>F標識オクトレチを用いることで、β線放出RI標識オクトレオチドによる治療効果の定量的評価も可能であることが示唆された。
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Am J Trop Med Hyg 74(3):
ページ: 353-360
Ann Nucl Med. 19
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