研究概要 |
1.新たな強い細胞性免疫を誘導する機能を持つ樹状細胞療法の開発 2004年末に東北大学にGMPグレードの細胞プロセッシングセンターが設置されたのを機に、臨床において投与する樹状細胞はすべて同センターにおいて作成している。利用に際して必要な技術を有する実験助手を当研究費により雇用した。肝転移あるいは術後再発があり、抗がん剤にも耐性となった進行膵癌を有する患者の末梢血30mLから単球を分離し、GM-CSFとIL-4存在下に樹状細胞を誘導。6日目にTNFα、IL-1β、IFNα、IFNγ、Poly I:Cを用いて成熟させαDC1を作成した。αDC1はCD80,CD86,CD40ならびIL-12産生能の産生にすぐれており、培養における新鮮な培地、サイトカインの使用がその性能に決定的な影響を与えることが判明した。東北大学倫理委員会の承認を得て、上記の条件で4日間連続培養し、成熟させた自家の樹状細胞を足背のリンパ管内から投与する第1相、早期第2相臨床試験を開始し、7名に10回投与した。大きな副作用・合併症なく投与施行できた。投与に伴う腫瘍増殖抑制効果および生存率の改善は得られなかったが、腫瘍特異的抗原を負荷した樹状細胞による抗腫瘍効果の確認へとっながる技術の開発ができた。 2.ティッシューアレイの作成 肝転移巣、源発巣、正常組織(筋肉、白血球)からのRNA抽出を行い、発現プロファイルを検索した。そのプロファイルに基づく免疫染色を効率よく行うために、膵癌臨床標本によるティッシューアレイを90人分作成した。
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