研究概要 |
1. 膵癌によるWT1, Survivin, MHC class I発現 ティッシューアレイを用いて、膵癌原発巣、肝転移巣におけるWT1, survivin, MHC class Iの発現を検討し、膵癌ではWT1, survivinの発現が減弱しており、とくに肝転移において弱くなっていることを見出した。免疫治療の標的としてこれらの広範囲腫瘍抗原を利用するためにはなんらかの修飾を加えることが必要であることが示唆された。 2. 樹状細胞を用いた免疫治療 GMPグレードの細胞プロセッシングセンターにおいて作成した自家樹状細胞を肝転移あるいは術後再発があり、抗がん剤にも耐性となった進行膵癌を有する患者の足背のリンパ管内から投与する第1相、早期第2相臨床試験を開始し、7名に10回投与した。大きな副作用・合併症なく投与施行できた。投与に伴う腫瘍増殖抑制効果および生存率の改善は得られなかったが、腫瘍特異的抗原を負荷した樹状細胞による抗腫瘍効果の確認へとつながる技術の開発ができた。末梢血30mLから単球を分離し、GM-CSFとIL-4存在下に樹状細胞を誘導。6日目にTNFα、IL-1β、IFNα、IFNγ、Poly I:Cを用いて成熟させるαDC1はCD80,CD86,CD40ならびIL-12産生能の産生にすぐれており、WT1,survivinを負荷して腫瘍特異的免疫を誘導できる可能性が示唆された。
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