研究課題/領域番号 |
16390361
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60263084)
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研究分担者 |
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 教授 (50142005)
藤井 英明 京都大学, 医学研究科, 助手 (50372587)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 肝幹細胞 / ES細胞 / 細胞移植治療 / TRECKマウス |
研究概要 |
本研究の目的は肝機能不全に対する新たな治療法として、肝幹細胞を用いた細胞移植治療法を開発することである。これまでに我々はマウス胎仔からマウス肝幹細胞を分離する手法を開発し、同様の手法で成体マウスからも肝幹細胞を分離可能なことを報告してきた。さらに、マウス胎仔肝臓より分離したThy1陽性間葉系細胞は肝幹細胞をin vitroにおいて成熟肝細胞へと分化誘導することを見出した。この研究成果を応用してin vitroにおけるES細胞から肝細胞への分化誘導が可能となった。本研究におけるヘテロ型alb-DTRマウス(ジフテリア毒素受容体を肝細胞のみに強制発現させ、ジフテリア毒素投与により肝障害をきたすマウス)ではジフテリア毒素受容体の発現に個体差が大きく、肝障害モデルとして問題点があったため、ホモ型alb-DTRマウスを作製した。ホモ型alb-DTRマウスは従来のヘテロ型よりも安定して用量依存性にジフテリア毒素誘導性致死的肝機能障害を再現し、移植細胞の肝臓リモデリングと成体内での細胞機能評価が可能な肝不全モデルシステムを構築し得た。このモデルマウスに対してGreen Fluorescent Protein-Tgマウス胎仔(E13.5)より濃縮分離採取した肝幹細胞を1x10^6個/body細胞移植したうえで、致死的肝障害を惹起させたところ、肝臓内での移植細胞の経時的増殖とアルブミン産生を確認した。さらに、細胞移植群と非移植群の比較により細胞移植群において統計学的優位に生存率の改善を認めた。加えて、マウスES細胞から分化誘導した肝細胞移植でも同様の結果を確認できており、致死的肝障害に対する肝幹細胞移植の有用性を確認し得た。一方、マウス胎仔肝由来Thy1陽性間葉系細胞に含まれる形態学的に2種類の細胞はサブトラクション法により同定した表面抗原によりgp38陽性細胞と陰性細胞に分離可能であることを見出した上に、それぞれ肝幹細胞をin vitroにおいて成熟肝細胞へと分化誘導する機能と肝幹細胞を未分化状態のまま維持する機能を持っていることを見出した。肝幹細胞から機能的肝細胞への分化誘導確立に向けて、現在Thy1(+)gp38(+)細胞とThy1(+)gp38(-)細胞のさらに詳細な特性解析を進めている。
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