研究概要 |
本研究では消化器癌より抽出したRNAとGM-CSF遺伝子のRNAを同時に樹状細胞(DC)に導入し,その抗腫瘍効果を担癌マウスモデルの系を用いて検討した.さらにヒト末梢血を用いて,この方法によりin vitroでの抗腫瘍効果を検討した. 1.遺伝子導入DC接種マウスにおけるCTLの誘導 マウス大腸癌細胞株CT26のtotal RNA,CT26の癌抗原遺伝子であるgp70のmRNAをそれぞれDCに遺伝子導入し,RNA導入DCを作製した.またGM-CSFのmRNAも同時に導入した.その結果CT26 total RNA DC,gp70 mRNA DCよりCT26特異的なCTLが誘導された.またGM-CSF mRNA併用によってCTL活性の増強効果が認められた. 2.BALB/cマウス皮下腫瘍モデルに対する腫瘍又は腫瘍抗原RNA導入DCの抗腫瘍効果に関する検討 CT26 total RNA導入DC,CT26 total RNA+GM-CSF mRNA DC,gp70 mRNA DCおよびgP70 mRNA+GM-CSF mRNA DC接種により,in vivoで腫瘍増殖抑制効果を認めた.CT26 total RNA+GM-CSF mRNA DC接種マウス42.9%(3/7)で腫瘍が完全消退し,腫瘍再投与・再々投与でも腫瘍は生着せず,メモリーT cellが誘導された可能性が示唆された. 3.健常ヒト自己PBMCからCTLの誘導 末梢血単球由来のDCに食道癌細胞株TE8のtotal RNAまたはTE8の癌遺伝子であるWT1のmRNAをelectroporation法にて導入し,RNA導入DCを作製し,PBMCに感作させCTLを誘導し,in vitroでのTE8細胞に対する抗腫瘍効果を検討する.マウスの実験と同様にGM-CSF mRNAを同時導入し,その併用効果も検討する.現在検討中である.
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