研究概要 |
本研究は、無菌マウスを用いた通常化モデルから大腸上皮細胞に誘導されるresistin-like molecule β(RELM-β)とdeleted in malignant brain tumors 1(DMBT-1)に着目して、その機能解析を試みた研究である。 RELM-bに関しては、ヒト分子をクローニングしCAGベクターに組み飛んでトランスジェニックマウスを作成した。系統樹立に時間を要したが、一系統につき解析を開始した。各臓器においてmRNAの発現が認められたが、大腸での発言は弱いものであった。その理由については、不明でありdextran sulfate sodium誘導腸炎においても、腸炎発症の抑制効果については対照群と明らかな差を認めなかった。 一方、リコンビナントタンパクを用いたin vitroの解析では、グラム陽性球菌に対する抗菌活性が認められたが再現性に乏しく検討中である。ブドウ球菌を使ってその表層への結合についてみると、筋の外膜表面に結合したのち、菌体内容が破壊される像が電子顕微鏡によって観察されている。また、便中では、本分子は2量体で存在することが明らかとなった。 DMBT-1についてはクローニングからリコンビナントタンパク作製にかけての作業が難航し、近年、この作業が極めて難しく塩基配列を置換することによってはじめて可能になったという論文が発表された(Caroline End, et al.Protein expression and purification 41, 275(2005))。
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