研究概要 |
ATP-sensitive K (K_<ATP>) channelをblockすることにより,各preconditioningによる心筋細胞保護効果が失われるとの報告が散見されており,K_<ATP> channelはend effectorとして細胞保護のカスケードを支配している可能性が示唆される.本研究の目的は肝臓においてもK_<ATP> channelが心筋細胞と同様の役割を果たしていることを明らかにすることである. K_<ATP> channelはKir6.1,Kir6.2,SUR1,SUR2といったsubunitの組み合わせで成り立っていると言われている.Wistar系ラットを用いて,肝組織中における前述の各subunitのmRNA発現をRT-PCR法を用いて調べた.その結果,Kir6.1とSUR1のmRNAが強く発現し,SUR2も弱い発現が確認できた.次に,肝臓中のどの細胞種に存在するのを明らかにすべく,肝組織を実質細胞と非実質細胞に分離し,それぞれの分画で各subunitのmRNA発現を調べ,両分画において全肝細胞と同様に発現していることを確認した.さらに非実質細胞群を細かく血管内皮細胞,伊藤細胞等にわけ,各細分画におけるsubunitを調べるべくエルトリエーターを用いた細胞の分離を試みている. また,K_<ATP> channelのopenerであるdiazoxide,nicorandil,blockerであるglibenclamide,5-hydroxydecanoateを投与した後のK_<ATP> channelのsubunitの変化を見た結果,glibenclamide投与により,mRNAレベルで変化が起こっていることが確認できた.
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