研究課題
基盤研究(B)
【背景と目的】食道癌関連抗原を SEREX (serological identification of antigens by recombinant cDNA expression cloning)法により同定・機能解析を行い、腫瘍マーカーとしての意義を明らかにする。【方法】食道癌細胞株T.TnよりcDNAライブラリーを作製し、食道扁平上皮癌患者血清を用いてSEREX法によるスクリーニングを施行した。 SEREX法を用い食道扁平上皮癌患者血清をスクリーニングし、新規の癌抗原としてmyomegalinを同定した。Myomegalin cDNAをGST-融合タンパク質発現ベクターpGEXに組換え、合成された融合タンパク質を精製してELISA法により血清抗体のレベルを測定した。我々はSEREX法を用い食道扁平上皮癌患者血清をスクリーニングし、計450クローン、325種類の癌抗原を同定した。得られたクローンについて、ウエスタン法により、複数の食道癌患者血清中に抗体の存在が確認された抗原クローンを選別した。次に、得られたcDNAをGST一融合タンパク質発現ベクターpGEXに組換え、合成された融合タンパク質を精製してELISA法により血清抗体のレベルを測定した。【結果と考察】TROP-2,GLUT-1/SLC2A1,TRIM21,Myomegalin等の抗原に対する抗体価は健常者血清に比べ、患者血清において有意に高いことが判明した。また、血清TRIM21抗体の存在は予後と、血清TROP2抗体の存在は腫瘍のサイズと関係していることがわかった。従って、これらの抗原は新規の腫瘍マーカーとなり、その血清抗体の解析は食道扁平上皮癌の診断に有用であると考えられた。
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