研究課題/領域番号 |
16390375
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
有井 滋樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50151171)
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研究分担者 |
寺本 研一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80197813)
中村 典明 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (10372442)
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
田中 真二 東京医科歯科大学, 情報処理センター, 特任助教授 (30253420)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 肝細胞癌 / 浸潤転移 / DNA binding protein A / Angiopoietin-2 / hekisokinase-II / COX2 / VEGF / Skp-2 |
研究概要 |
本プロジェクトにより以下の点を明らかにし、専門誌に論文として発表した。 1)肝細胞癌は慢性肝障害を基盤として発生、進展するが、この過程に関与する遺伝子としてDNA binding protein A(dbpA)に着目し、82症例の肝癌患者切除標本についてその発現を免疫染色にて解析し臨床病理学的事項の相関を検討した。さらに、プロモーター領域におけるTからGへの1塩基置換を見出し、その意義についても解析した。その結果dbpA発現は門脈侵襲、静脈侵襲、分化度、αフェトプロテインなどと有意に相関することが明らかとなった。これら因子は肝細胞癌の進展にかかわる重要な因子であることから、dbpAは浸潤関連マーカーになりうるとともに、浸潤における責任遺伝子のひとつであり、分子標的の候補遺伝子の可能性を示唆するものであった。 2)Angiopoietin-2が肝細胞癌における重要な血管新生因子であり、これが肝細胞癌の進展に深くかかわることを報告してきたが、本プロジェクトにおいてはangiopoietin-2を誘導する因子について検討した。種々のサイトカインを含むさまざまな物質について実験をおこなったところ、COX2とPGE2により強く誘導された。興味あることに低酸素ではVEGFと異なり、本遺伝子はまったく誘導されなかった。またCOX2の阻害剤はin vivoにおいても腫瘍新生血管を抑制し、同時に腫瘍増殖を阻害した。本結果は肝細胞癌に対するCOX2阻害剤の有効性を示唆するものであり、angiopoietin-2あるいはその受容体であるTie2が分子標的になる可能性をも示すものである。 3)低酸素下ではVEGFとともに解糖系酵素であるhekisokinase-IIの発現が亢進することを明らかにし、血管新生阻害のみによる癌治療の問題点を示した。 4)その他の研究成果として胆道系悪性腫瘍の進展におけるSkp-2の意義を明らかにした。
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