研究課題
基盤研究(B)
[方法](1)胃癌患者30例の手術標本のリンパ管密度を免疫染色で検討した。(2)胃癌細胞株AZL5Gをヌードマウス胃壁に同所性に移植すると6週間で所属リンパ節に転移する。このマウスに抗VEGFR3抗体を3日毎に全身投与して、リンパ節転移を抑制するかどうか調べた。[結果]胃癌患者のリンパ管数とリンパ節転移の頻度に相関があった。リンパ管マーカーであるLYVE-1のポリクローナル抗体を作成した。その抗体を用いて胃癌病巣の免疫染色をした。リンパ管数はリンパ節転移陰性例で14.7±4.0/視野であったのに対し、リンパ節転移陽性例では32.7±5.7/視野と有意に高値であった。抗VEGFR3によってリンパ節転移が阻止された。AZL5Gは親株と比較しVEGF-Cの発現が高く、腫瘍内リンパ管数は33.3±5.6/視野で、ヒト胃がんのリンパ節転移陽性例に相当した。抗VEGFR3抗体投与群では、10.5±1.5/視野に低下した。リンパ節転移はコントロール群が75%に対し、抗VEGFR3群では19%に低下した。原発腫瘍の重量と血管数には差が認められなかった。[考察]リンパ管新生がリンパ節転移を促進させるという仮説がヒト胃癌症例でも正しいことが示された。抗VEGFR3抗体によってリンパ管新生が抑制され、結果としてリンパ節転移を阻止する可能性がマウス実験で確かめられた。今後、この治療法の別の薬剤の可能性を探り、実際の治療法としての確立にむけた努力が必要となる。
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