研究分担者 |
藤野 泰宏 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30335450)
谷岡 康喜 神戸大学, 大学院・医学系研究科, COE研究員 (00372649)
酒井 哲也 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (80372647)
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
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研究概要 |
過去2年間、膵島移植に関する基礎実験として以下の検討を行った。 1.膵島分離前の膵臓の二層法保存による、その後の膵島収量や機能の向上効果を極めて客観的な手法で証明し、その結果を報告した(Transplantation 79(11),1516-21,2005)。 2.分離膵島に24時間の二層法培養を行い、分離課程で障害を受けた膵島機能の改善効果をin vitroで証明し、報告した(Hepato-Gastroenterol, in press)。 3.膵臓の消化から膵島分離の過程に二層法を応用する新しい手法で、組織中ATPの上昇と膵島収量の増加が確認された(Transplant Pro(37(1),220-222,2005)。 4.温阻血障害を受けた心停止ドナーから摘出した膵臓を3時間二層法で保存する事で、有意に膵島収量と機能が向上する事を証明した(Transplantation 80(6),738-742,2005)。 今年度は臨床で3回の膵島分離を行い、そのうち1回については1型糖尿病患者に対し移植を施行できた。このドナーは32歳女性で、心停止後温阻血時間は6分で、冷阻血時間は193分、二層法保存時間は165分であった。純化後の膵島収量は545267IEQであり、純化後も483545IEQに達し、移植基準を満たすことができた。また、移植にあたって必須である分離膵島のグラム染色は陰性で、エンドトキシンも感度以下であり、そのviabilityも98.5%であった。本症例におけるレシピエントは30歳台の女性で、年余に渡る不安定性1型糖尿病で、移植時も血糖管理のために本院内科に入院中であった。移植直後から内因性インスリン分泌が確認され、血糖の不安定性は解消した。 現時点で生体膵島移植を希望する患者はいないが、上記の基礎実験、臨床試験の成績を解析し、今後のプロジェクトに生かしていく方針である。
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