研究概要 |
マイクロダイセクションによるmRNA抽出効率の改善に関する検討(三森) 凍結標本よりマイクロダイセクションによる遺伝子(DNA,RNA)の抽出と増幅(井上) 以上の課題については、(1)laser pressure cell transfer methodを用いること、(2)ODメーター法、ゲルアッセイ法、バイオアナライザー法(Agilent社)の3法を全てのサンプルに対して施行、RNA標品チェックを行うことで厳密なqualityチェックが可能となり従来よりも質の良いRNAが高頻度に確保できるようになった。この結果をもとに、平成16年度は胃癌20例、肝臓癌24例、大腸癌20例、食道癌15例の凍結標本よりマイクロダイゼクションにより腫瘍(表層部、浸潤部)、間質に弁別した遺伝子(DNA,RNA)の抽出を行った。この過程で腫瘍切除から3ヶ月以上経過した凍結標本からは遺伝子(DNA,RNA)の抽出効率が低くなることも明らかとなった。また抽出効率は臓器によって異なること(肝臓癌が最も効率よく80%、胃癌の低分化腺癌では30%)も明らかとなった。 マイクロアレイ解析(田中・井上) (1)質のそろったRNAが得られた肝臓癌では7例にマイクロアレイ解析を行った。多段階発癌を示すと考えられる部位を詳細にマイクロダイゼクション法により切り分け、その組織学的分化度に一致するDNAマイクロアレイプロファイリングを得ることが可能であった。一部の遺伝子については、その発現産物蛋白に対する抗体を用いて、発現解析を裏付けるデータを得ている。 (2)食道癌においてもマイクロアレイ解析をすでに施行した。 (3)その他の癌腫においてはマイクロアレイ解析を行う品質のRNAを更に確保中である。 平成17年度は以上の結果を踏まえて、多様な分化度を示す癌のマイクロアレイ解析を更に進展させる予定である。
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