研究課題/領域番号 |
16390383
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
真辺 忠夫 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80127141)
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研究分担者 |
岡田 祐二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10305550)
松尾 洋一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40381800)
山本 稔 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70347417)
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キーワード | 神経栄養因子 / 膵癌 / integrin / IL-1α / NF-κB |
研究概要 |
以前より我々は膵癌周囲に広く存在する神経組織と膵癌との相互作用について注目しており、神経組織から分泌される神経栄養因子(GDNF)が膵癌の神経浸潤に対し重要であるとの報告を行ってきた。また、以前より当科では炎症性サイトカインの1つであるInterleukin-1α(IL-1α)と接着因子integrinが膵癌細胞の肝転移、神経浸潤に大きな影響を与えていることを見出してきた。今回の研究の目的は、神経栄養因子や炎症性サイトカインが膵癌の転移・浸潤能にどのように関与しているかを基礎的検討から明らかにすることである。平成16年には、GDNFやIL-1αがα6β1,α5β1-integrinの発現を増強しており、これらの変化はNF-κB、AP-1などの転写因子の活性化といった細胞内シグナル伝達を介して起こっている現象であることを発見した。 平成17年の研究計画は臨床材料を用いた検討であった。今回の検討で膵癌組織におけるGDNFの発現程度は膵内神経組織で強く、RETの発現程度は非癌部膵組織よりも癌部で強いことを発見した。さらに、RETが強発現する膵癌患者では術後予後が有意に悪く、lymphatic invasionも有意に強かった。また、neural invasionは膵内神経組織におけるGDNFの発現と有意な関与を認めた。IL-1 receptor typeI(IL-1RI)の発現程度に関しては膵癌患者の病理所見、予後との間に有意な差を認めなかった。 転写因子HOXD3の発現については、現在膵癌細胞株での検討を進めており、RT-PCRによるmRNAレベルでの検討、またWestern Blottingによるタンパクレベルでの検討において、いくつかの細胞株に発現を認めている。 今後、平成18年度には膵癌細胞における転写因子とintegrin発現の関連、また、膵癌患者の予後との関連につき検討を加える予定である。
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