研究課題/領域番号 |
16390386
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | (財)田附興風会 |
研究代表者 |
金井 陸行 財団法人田附興風会, 医学研究所・第2研究部, 主任研究員 (00322652)
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研究分担者 |
鷹巣 晃昌 財団法人田附興風会, 医学研究所・第1研究部, 研究主幹
木下 浩一 財団法人田附興風会, 医学研究所・第2研究部, 研究員 (60342698)
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キーワード | トレフォイルファクターファミリー / 消化管粘膜修復因子 / ITF / 内視鏡的粘膜切除(EMR) / 人工潰瘍 |
研究概要 |
消化管粘膜損傷に対するIntestinal Trefoil Factor(ITF)の粘膜上皮修復促進因子としての治療学的効果の検討と、その臨床応用の可能性を模索することを研究目的とし、本年度は内視鏡的粘膜切除後の人工潰瘍に対するITFの治癒促進効果を検討した。 (1)具体的な粘膜切除のモデルとしてラット胃粘膜を開腹・異切開下に切除した。粘膜切除後経時的に潰瘍周辺の組織を摘出し、内因性のITFの発現をRT-PCRにて確認したところ、通常ではラット胃粘膜上皮にITFは発現させていないが、粘膜切除後の24時間から120時間までの間、72時間目をピークとして発現されることが確認された。 (2)ラットの粘膜欠損部位にITFを散布し治癒経過、具体的には潰瘍の退縮率を経時的に非散布群(コントロール)と比較検討した結果、ITF投与群では肉眼的に有意な退縮率の上昇が観察された。また病理組織学的に潰瘍の治癒経過を観察した結果、ITF投与群においては、欠損上皮表層の細胞壊死の抑制効果、潰瘍周囲の炎症の抑制、再上皮化の促進傾向が観察された。さらにITF投与群においては、潰瘍に治癒に伴う繊維化が抑制されることが明らかにされた。この結果ITFには瘢痕形成の少ない自然治癒傾向を促進する効果が存在することが示唆された。 (3)今後の臨床応用を目的とした前実験として外因性に投与されたITFの粘膜切除部位における滞留性を抗ITF抗体を用いた免疫組織学的に検討したところ、投与後24時間までITFの潰瘍周辺への滞留を確認した。
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