研究課題
消化管粘膜損傷に対するIntestinal Ttefoil Factor(ITF)の粘膜上皮修復促進因子としての治療学的効果の検討し、内視鏡的粘膜切除後の人工潰瘍に対する治療薬としての臨床応用をめざすことを研究目的とし、以下の成果を得た。ラットに内視鏡的粘膜切除のモデルとしての人工潰瘍を作成、それ対するITFの治癒促進効果を検討した。その結果(1)通常ではラット胃粘膜上皮にITFは発現させていないが、粘膜切除後の24時間から120時間までの間、72時間目をピークとして発現されることがRT-PCRにて確認された。(2)ITFはラットの人工潰瘍に対して明らかな治癒促進効果を有すること、具体的には欠損上皮表層の細胞壊死の抑制効果、潰瘍周囲の炎症の抑制、再上皮化の促進傾向さらに潰瘍に治癒に伴う繊維化が抑制されることが明らかにされた。この結果ITFには瘢痕形成の少ない自然治癒傾向を促進する効果が存在することが示唆された。引き続き臨床応用を前提とし、ITF投与における安全性の確認を行った。本来ITFには腫瘍増殖促進効果はないとされていたが、近年ある種の胃癌組織におけるITFの強発現や、胃癌患者での血清ITFレベルの上昇、ITF発現胃癌の予後が不良である等の報告が散見されている。そこで種々の胃癌細胞株について内因性のITFの発現を確認すると同時に外因性のITFによる腫瘍増殖効果を検討した結果、ITF発現陽性胃癌細胞株および陰性細胞株のいずれにおいてもITFによる増殖促進効果は認められず、臨床応用に際して問題は無いと思われた。
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