研究概要 |
重症心不全に対する補助人工心臓(LVAD)使用時には約5%で自己左心機能の回復が得られ積極的にLVAD下に心筋回復治療を行い離脱を計画するBridge to Recovery (BTR)が心不全治療体系に取り込まれている.一方LVAD下での自己左心機能の評価法がなく,この点が当BTRの臨床普及に支障を来している.左心機能の評価には従来から種々の指標が用いられてきたが,左室前負荷・後負荷に影響されない心収縮能指標として近年,左室圧容量曲線(LV-loop)が広く応用されている. 重症心不全に対する機械的補助循環法の代表である補助人工心臓では左房脱血・左室脱血の如何を問わず左室前負荷や後負荷は大きく変動し同時に左室等容収縮期自体の存在も大きく変化する. 左房脱血では補助流量増大につれて後負荷増・前負荷減でLV-loopはend-systolic LV pressure上昇下に相似形状で縮小し,LV-loop上の左室収縮末期圧時期での容積関連(End-Systolic Pressure-Volume Relationship : ESPVR)も周期的に変化した.このためESPVRの変化からEesの予測が可能となり自己心の心収縮能評価が可能であったがLVADの自己心同期駆動ではこの現象は存在せず評価不能であった.左室脱血では自己心拍との整合で全周期おいて心拍毎の左室容積変化が発生するためLV-loopは等容収縮期・拡張期の欠如した多彩な不等辺三角形を描写し自己心拍との同期・非同期駆動の双方で左室等容収縮期容積の変動を来しESPVR決定は困難であった. 現在,自己左室の拍動周期毎のLV-loop画像解析を行いEW, PVA, ESPVR, EDPVR, SWなどの比較検討を行っている.
|