研究概要 |
基礎研究 成ブタ7頭にて,全身麻酔後,前下行枝(LAD)結紮による心筋虚血モデルを作成. コントロール群(C群)として5分間の虚血,再灌流を3回繰り返し,その間の末梢心筋酸素飽和度(StO2),冠動脈血流量(Coronary Flow ; CF),心拍出量(CO)を連続計測した. 引き続き同ブタの胸部交感神経(Th1-Th5)を切除した交感神経ブロックモデルを作成. 交感神経切除群(TEA群)として上記プロトコールに従い各データを計測した. 結果 交換神経のブロックにて (1)CO, StO2にC群との有意差は認めなかった. (2)CFはC群に比較し54±12%の有意な増加を認めた. (3)StO2の連続測定では交感神経切除により,5分間虚血によるStO2の低下はC群に比べ有意に減少した. (4)CFは5分間虚血後の再灌流により,虚血前9.2±5ml/minに対し46±12ml/minと著明に上昇するのに対し,TEA群では虚血前14.2±5ml/minに対し32±16ml/minと再灌流後の上昇は少なかった. 結論 TEAの効果によりCFは有意に増加し,虚血による心筋の血流低下が軽減することが示唆された. 臨床研究 (1)高位硬膜外麻酔(TEA群)と全身麻酔(GA群)による冠動脈バイパス術における術中,術後の自律神経解析では,LF(交感神経の指標)はTEA群で有意に抑制され,HF(副交感神経の指標)はTEA群がGA群に比べ有意に活動性が高い事が解った.また不整脈の発生はTEA群で有意に少なく,TEAは交感神経を抑制し,不整脈の発生を減少させることが確認された. (2)TEAによる頭蓋内の血流,酸素飽和度測定ではTEA群はGA群に比べ血圧低下に伴う,Auto regulation機能が保たれることが確認された.
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