研究課題/領域番号 |
16390393
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
田中 國義 福井大学, 医学部, 教授 (70144251)
|
研究分担者 |
李 偉 福井大学, 医学部, 助手 (80362044)
野一色 泰晴 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60033263)
藤林 康久 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
|
キーワード | ハイドロゲル / ヒアルロンサン / キトサン / 遺伝子治療 / 血管新生 / 血管システム再構築 |
研究概要 |
従来の血行再建が不可能な重症虚血性心疾患に対し、吸収性ハイドロゲルと血管新生因子を併用して心筋内に本来の冠動脈に直接繋がる機能的な冠動脈を再構築する可能性について検討した。まず前年度に引き続き、遺伝子治療に適するハイドロゲルの検討を行った。マイナス電荷を有するヒアルロンサンはPD-ECGF遺伝子の取り込みには適さなかったが、プラス荷電のb-FGFとは容易にイオン結合が形成された。これを動物皮下に挿入したところ2週間にわたりbFGFが徐放され、抗von Willebrand Factor抗体を用いた免疫組織化学染色により毛細血管の新生が確認された。ヒアルロンサンハイドロゲルのもう一つの利点は細胞反応が少なく、効率よく管腔を開存させたことである。しかし作成したゲル間で生体内での吸収速度は一様ではなく、犬の心筋に挿入すると2週間の時点で、しっかりした管腔の形成が確認出来たが、48日目の観察では管腔は閉塞するものもみられた。一方、キトサンはプラスに荷電しているためPD-ECGF遺伝子と安定した結合が得られた。キトサンハイドロゲルをビーグル犬心筋内に挿入したところ、管腔が形成されX-gal染色により管腔周囲における高い遺伝子導入が確認された。さらに抗von Willebrand Factor抗体を用いた免疫組織化学染色により周囲の組織中に多くの微小血管の新生が確認された。しかしキトサンハイドロゲルは2週間の時点では分解されずに残存しており、周囲への炎症細胞浸潤が観察された。これを克服するためにキトサン・ポリビニルアルコールハイドロゲルを作成して犬の心筋における管腔の作成を検討したところ周囲の組織中の血管新生が確認され、かつ炎症反応も抑制されることが判明した。
|