研究課題
基盤研究(B)
心筋細胞は生後間もなく不可逆的に細胞周期が停止し非増殖状態となる。この機序の一つとして、GO(1)期からS期に細胞周期を進行させる働きのあるcyclin Dタンパク質が心筋細胞の核に移行できない事が指摘されている。今回我々はLentivirus vector及びplasmid vector(electroporation法)を用いて、ラット心筋細胞初代培養にcyclin D1を発現させ、細胞周期の進行を試みた。過去にcyclinD1に核移行シグナル配列を付加することにより核移行しえたという報告があるが、我々の実験では、心筋細胞内で発現したcyclin D1は必ずしも核移行シグナル配列とせず、核に移行しえた。また、cyclin D1が核移行しえた細胞のうち約4割が、細胞増殖マーカーであるKi67陽性となった。これらの結果より、外来性にcyclin D1を発現させることにより、少なくとも一部の細胞でcyclin D1は核移行し、細胞周期が進行しうる事が示唆された。