研究概要 |
本研究は脳神経外科領域における衝撃波医療応用としての初の試み(平成13年度開始)の延長である。 本研究期間内では、以下の点を明らかにすることを目的とした: 1).衝撃波発生装置を開発し、その特性を工学的に検討する. 2).脳損傷閾値を同定し、衝撃波緩衝材を開発する。 3).衝撃波照射による腫瘍増殖抑制効果が報告されている胃がん細胞(GCIY)を用いて薬剤(ブレオマイシン:BLM)導入促進効果を検討し、至適照射過剰圧、照射回数を同定する。 4).脳腫瘍細胞(グリオーマ株)に対して同様の実験を施行し、脳腫瘍細胞に対する効果を検討する。 検討の結果、以下の点が明らかにした: 1).4Frカテーテルより、0.1〜15MPaの衝撃波が発生可能であった。 2).既に衝撃波緩衝材であることが判明した厚さ0.3mmのGore-Tex人工硬膜における衝撃波減衰効果の機序を数値解析、物理実験により検証した。Gore-Tex人工硬膜による衝撃波減衰効果は95%であり、10MPa程度まではこの素材を照射部位に適した形状に変化させ応用可能であることが示唆された。 3).BLM溶液(0.001,0.01,0.1,1,10,100μg/ml)内にGCIY細胞を注入後、衝撃波照射(発生源:15MPa、照射部推定圧5 MPa)3000発照射により細胞増殖抑制効果は有意に増加し、効果はBLMにdose dependentであった。 4).脳腫瘍(グリオーマ)細胞株(CCF-STTG1,A172)では上記衝撃波照射条件下で衝撃波照射によりBLM濃度依存性に細胞増殖抑制効果が認められた。しかし、ACNU、MTX、5 FUでは明らかな効果は認められなかった。 今後は脳腫瘍動物モデルでの動物実験へと発展させる予定である。
|