研究概要 |
1.病態モデルマウスまたはラットの作成: マウスに中大脳動脈閉塞モデルを作成し、神経学的症状のスコアとローターロッド法で運動機能評価をした。結果、永久閉塞ではマウスが早期(1週後まで)に死亡するため(10匹中4匹死亡)、その後の実験系への応用が不可能と判断した。このため本実験系における至適虚血時間決定のための基礎実験を行ったところ、90分の一過性虚血でほぼすべてのモデルマウスが長期生存可能という結果が認められたためこれが至適虚血時間と考えられた。またローターロッド法での評価では虚血翌日の運動機能が50〜80%に落ち、そこから経時的に回復する所見が得られた。 2.neural stem cellの培養: マウス胚脳からsphere法により分離した神経幹細胞(neural stem cell ; NSCs)に加え、ES細胞から浮遊法培養により誘導したneurosphere、および脂肪組織から採取した間葉系幹細胞(Adipose derived mesenchymal stem cells ; ASCs)を培養しIn vitroでの増殖、分化に与える影響を解析した。各栄養因子について濃度依存を確認しつつ検討を行った。NSCsに関してはFGF-2,EGF, HGFの濃度依存性にsphereの増加が認められた。 またFGF-2,EGF, HGFを同時に投与した場合に最も多いsphere数が認められた。Es由来のneurosphereについてもほぼ同様の結果が得られた。ASCに関しては、これまでの実験結果からindomethacin、insulin、IBMX含有にてneuron、glia、oligodendrocyteそれぞれのマーカーに陽性な細胞が誘導された。またASCは血管内皮用培地で内皮マーカー陽性細胞が誘導されるという結果が得られている。 3.病態モデル動物の病理学的、分子生物学的検討: 疾患モデル作成後、28日後にTTC染色を行った。その結果、中大脳動脈虚血巣に一致してTTC不染領域を認めた。これらの結果をもとに3種のprogenitor cellを移植する実験を開始し、解析中である。
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