平成16年度よりグリオーマの手術による検体を蓄積し、現時点で60例以上の症例に対して、染色体1番短腕、19番長腕、10番長腕の欠失について、LOH解析及びFISHによる解析を行っている。また、EGFR遺伝子の増幅についても解析が行われている。一方、一定のプロトコールに基づいて、術後の治療が行われており、その経過の観察もおこなわれている。特にOligodendrogliomaにおいては、化学療法(PAV療法)による治療が行われ、明らかな感受性を示す例がほぼ100%であり、今後の経過を注視しているが、再発をおこした場合には、どのような変化がDNA-RNAレベルで認められるのかを検討することになっている。。 昨年から、Grade 3以上のグリオーマに対しては、組織培養を行い、成育が認められるものについては2-3回のpassageの段階で冷凍保存を行っているが、その率はおよそ1/3である。また、今年から、一部をヌードマウスの皮下に接種して、xenograftの作成に取りかかったが、これは現在の所生着率が悪く、うまくいっていない。 oligodendrogliomaについては、microarrayによる全染色体にわたる欠失マッピングを行っている。1p/19qの他にもgardeに応じる形での欠失パターンが検出されており、細部に渡る検討を行っているところである。組織診断における3つのレベルに分けるgradingが、本来はもっときめの細かい変化であることを示す貴重なデータが得られている。
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